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2013.07.02

海のある街    9'8 11

 同じような長さで同じような幅のボードでも、メーカーによってまったく乗り心地が違う。もちろんそれは乗り手であるぼくの技量とも大いに関係しているのだろう。
 いくつものメーカーのボードがこの日用意されていて、ぼくたちはそのボードに交代で乗ることになった。
「なるべくいろんなボードに乗った方がいいよ」
 最初にそう話してくれたのはインストラクターのレイさんだった。
 もちろん参加者は最初からそのつもりで、思い思いのボードを選んで、その乗り心地を味わったら、浜に戻って別のボードに乗り換えるということを繰り返した。
 そのうち浜に戻るのが面倒になってきたので、海の上でボードを交換するようになった。ある程度乗ってみてなんとなく感触が掴めたら他の人を見つけて、リーシュを外すと、そのまま海に飛び込んでボードを交換する。
 パドルはいちいち交換する必要はないからそのまま。
 そうやって別のボードに乗ってみて、また海の上でだれかと会うと、その場でボードを交換する。
 そうやって午前中いっぱい、ぼくはいろいなボードを試すことができた。
 その日のスクール終了時にどのボードが気に入ったかレイさんが参加者に確認したら、結果はバラバラだった。そう千差万別。ほんとうに人によって、まったく印象が違うことがわかった。
 ぼく自身も、おもしろいボードとなんとなく安心して乗れるボードのふたつがあることがわかった。おもしろいボードは、ちょっとしたパドルの操作でくるくるとよく動くのだ。まるで海の上を滑っているような感触だった。これよりもさらに軽い印象のボードはぼくには扱いきれず、ちょっとしたことですぐに落ちてしまった。きっとぼくにはこのボードを楽しむにはまだ早すぎるのだろう。
 安心して乗れるボードは長さが9フィート8インチのものだった。9'8"だ。幅は29インチ。
 どっしりとまではいわないけど、しかし海水をかき分けて進む感触がとても心地よかった。おもしろいボードとの差は、まずそこだ。滑るようにではなく、かき分けて進む感じ。
 パドルを漕いで進むたびにボードがチャプチャプと音を立てる。
 このボードならのんびりとクルージングを楽しめそうだった。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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