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2013.06.04

海のある街    TSUNAMI 17

 彼女はそのまま海へ向かってまっすぐ歩いて、波打ち際までいくと、大きく息を吸った。
「潮の香りがする」
 そういってぼくの顔を見た。
「ああ、いい香りだろ」
 ぼくはそういいながら頷いた。
「海だねぇ」
 美由紀さんは自分にいい聞かせるように、そう何度もつぶやいた。
 五月晴れの綺麗な青空が広がっていた。海は碧く、そしてとても澄んでいた。風もあまりなく、打ち寄せる波もちいさい。
「あっちは?」
 そういって彼女は右側を指さした。
「披露山だよ。上には公園がある。あと邸宅街だね。まるでアメリカみたいな感じになってる。その向こうに逗子マリーナがあるんだ。ここからだと隠れて見えないけど」
「そうなんだ」
「すこし歩く?」
「うん」
 彼女は頷いた。
「どっちがいい?」
「じゃ、まずあっち。披露山だっけ? そっちの方にいってみたい」
 ぼくたちは西浜の方へと歩きはじめた。彼女は海側を、海を眺めながら歩く。ぼくは彼女の右側をどちらかというと彼女の足下を見ながら歩いた。
 潮が引いていて浜はかなり広くなっていた。
 満ちているときなら海の底になっている部分をのんびりと歩く。午前中の風が心地いい。
「ねぇ、人が多いね」
「そうだね、とくに西浜の方はスクールがある関係で、ウインドサーフィンをやる人たちでいつも一杯なんだ。こんなに天気のいい日は特にだけど」
「ウインドサーフィンか、やったことあるの?」
「ぼくはないよ」
 ぼくはそういって首を振った。
 西浜の入口まで歩くとぼくたちは足を止めた。そこから先には、ウインドサーフィンをやる人たちでいっぱいだった。あちこちにセールとボードが並んでいる。
 風はすこし弱いけど、逆に初心者の人たちにはちょうどいいかもしれない。
「あっちへ戻ろう」
 ぼくは彼女にそういって、ふたたび海岸中央の方へと向かった。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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