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2013.06.03

海のある街    TSUNAMI 16

 食事を終えてあと片付けをすると、彼女も一緒に出かけることにした。
「もうずいぶん海を見てないよ」
 彼女はそういうと楽しそうに用意をした。
 サマーシャツの上にパーカーを羽織り、膝丈のスカートを着る。それに白っぽいストローハットを被った。
「ちょっとした遠足気分ね」
 そういって彼女は照れたように笑った。
 ぼくたちは彼女のマンションを出るとまっすぐ駅へ向かった。商店街の入り口には昨日「TSUNAMI」が流れてきたCDショップがあった。今日はそこから福山雅治の曲が流れていた。ふだんテレビをほとんど見ないぼくはその曲名を知らなかったけど、彼女が「誕生日には真っ白な百合を」という曲だと教えてくれた。
 急行に乗り横浜へ出ると、京急の新逗子行きエアポート急行に乗り換えた。
 新逗子駅に着くと南口の改札を出て、そのままバス通りを新逗子駅入口の交差点まで歩き、右に折れると池田通りを郵便局に向かって歩きはじめた。
 彼女の子どもの頃の話を聞きながら逗子海岸入口の交差点で左へ曲がった。
 逗子海岸中央口へと出る住宅街の中の道を歩きながら、ぼくは子どもの頃の彼女の姿が想像できるほどになっていた。
 かなり活発な子どもだったようだ。勉強よりも運動が好きで、一日中校庭を走り回るそんな子だったようだ。お兄さんは対象的に物静かで、本が大好きないつも勉強机に向かっている少年だったらしい。
「いまでもそうなの。勉強が好きでそのまま大学に残っちゃってるんだよ。歴史が好きで昔の資料と毎日睨めっこしてるの。お義姉さんがいつもそういって笑ってる」
 ぼくは彼女の話をただ頷きながら聞いていた。
「ねぇ、なんだかわたしだけ話をしてない?」
 そろそろ潮の香りが漂ってきたころ、彼女は足を止めてぼくに向かっていった。
「うん、でもとても楽しいし、そろそろ海だし、いいじゃない」
「海?」
「そこの国道の下をくぐったら海だよ」
 ぼくが指さして教えると彼女は嬉しそうに頷いた。
「いこう」
 そういって彼女は歩き出した。
 国道の下の地下道をくぐると目の前には逗子の海が広がっていた。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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