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2013.06.18

海のある街    9'8 3

 メールのやり取りでスクールの受講を申し込んだぼくは、指示された場所へ、お昼過ぎにいった。
 Surfers という海の家だった。
 まだ妻と別れる前のぼくは西浜の出入り口が近くて、いつもは西浜からちょっと中央寄りのあたりで泳いでいた。しかし、このSurfers という海の家は東浜の端の方にあった。
 建ち並んでいる海の家が違うとその場所の雰囲気もずいぶん違った。景色まで違って見える。いつも泳いでいるあたりからは見えない江の島がここからだと見える。
 ちょっと早めに着いたぼくは店の人に声をかけた。
「Oceans の人?」
 真っ黒に日焼けした店員が対応してくれた。
「ええ」
 ぼくは頷いた。
「すぐに来ると思うよ。そこに座って待っててくれる」
 ぼくは促されるまま、近くのテーブルに座った。
 すぐに女性のスタッフがやって来てぼくに声をかけてくれた。
「Oceansのサキです。今日、受講される方ですよね」
 まだ若い娘だった。日焼けした顔から零れる笑顔が可愛かった。
「ええ」
 ぼくはただ頷いた。
 簡単にシステムの説明があって、受講料を支払うと、ちょっと待っててほしいといわれ、ぼくはそのテーブルに座ったまましばらく待っていた。
 常連の客が多いのか、最初に対応してくれた店員と気さくに話ながらやってくる人たちで店内はいっぱいだった。
 お昼を過ぎたばかりの時間。まだまだ食事をする人も多いようだ。
 ふと顔を上げると向かいにビールビンを持った男の人がやって来た。
「午後のスクール?」
 ひと口、飲むとそういった。
「ええ」
「午前中、クルージングしたばかりなんだ」
 そういって席に座った。
「それ、クラゲ?」
 ぼくの左肘の傷痕を見て尋ねてきた。
「お盆過ぎに泳いでいたらやられちゃって」
 ぼくは説明した。
「結構、酷いね」
「ですね」
 ぼくは頷いた。
「今日も沖にはうじゃうじゃいたから気をつけた方がいい」
 彼は笑いながらそういうとビールをぐいっと飲んで、カウンターの方へと移っていった。


※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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