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2013.05.17

海のある街    TSUNAMI 5

 仕事のシフトは基本的に週に四日か五日。休みも連休になったり、バラバラになったりとそのときによって変わることがある。
 ゴールデンウィーク明けの週もそうだった。
 金曜日が休みで、土曜日に出社して、またその次の日曜日が休み。できたら連休の方がいいのだが、こればかりはシフト次第なので仕方がない。
 いつものように弁当を用意してぼくは仕事に出かけた。
 すこしだけ残業してその日は帰ることができた。土曜日だから退勤の時間は五時だ。
 昼休みにいつも珈琲豆を買っている店で二百グラム頼んでおいたぼくは、そのままJRの駅とはちょっと逆方向にあるその店に、ゆっくりと暮れていく中、向かった。
 オフィスビルを離れ、帷子川を渡ってしばらく歩くと一方通行の商店街に行きあたる。その商店街の中に珈琲店はあった。
 はじめて頼んでからもうどれぐらい経つだろう。ぼくの好みの泥水のような珈琲をきちんと理解してくれて、打ち解けた話もできるようになっていた。
「あら、いらっしゃい」
 レジに立っていた女性、坂田さんがぼくの姿を見て、声を掛けてくれた。
「頼んでおいた珈琲できてますか?」
「ええ、用意できてるわよ、いつものやつ」
 そういって坂田さんはレジの下から袋を取り出した。
「すいません、これください」
 そこへ店の奥でなにかを探していたらしい女性がレジへやって来た。
「あれ?」
 彼女を見て、ぼくは思わず声を上げた。
 同じフロアで働いている美由紀さんだった。
「あ、偶然だね」
 美由紀さんはそういって微笑んだ。
「お知り合い?」
 レジを打ちながら坂田さんが尋ねてきた。
「ええ、職場がいっしょなんです」
 そういってぼくは精算を済ませた。
 続いて彼女も精算する。
「ありがとうございました」
 坂田さんの声に見送られるようにぼくらは店を出た。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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