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2013.05.14

海のある街    TSUNAMI 2

 そんなぼくにまともな就職口などあるはずもない。
 どうやって生きていくのか?
 なにがしたいのか?
 当時のぼくは、いまにして思えば真っ暗な闇の中を手探りで歩こうとしていたようだ。無駄な時間をずいぶん過ごしたし、それはとても鬱屈したものにもなっていた。
 仕事をしなければいけない。
 それは金銭を稼ぐために必要なことだった。
 新聞の募集欄で見つけた仕事が、コピーライターだった。
 高校の頃から乱読を続けてきたぼくは文章を書くことも好きだった。もしかしたらコピーライターならできるかもしれない。
 迷路の中をぐるぐると彷徨い、自分自身なんかまったく見えていなかったぼくには自信などなかった。どんな才能があるのかわからない、ということではなく、才能の欠片があることを信じることができなかったのだ。
 それでも他になにを選択することができただろう?
 ぼくは履歴書をその会社に送った。作品も同封しろということが条件だったが、経験のないぼくはそれは無視してともかく送った。それで駄目なら縁がないということだ。
 連絡はすぐに来た。
 なにも持参するものがなかったぼくは、それまで暇に任せて書いていたショートショートを持っていくことにした。
 面接をしたアートディレクターは、ぼくの作品を読んで、クスッと笑うと、おもしろいといってくれた。
 そして、採用が決まった。
 その瞬間、ぼくはコピーライターになった。
 世の中とはそうしたものだ。
 それから一年そこで働き、いい条件の会社へと移った。
 大手の広告代理店の社員でなければ、こうやって会社を移っていくことでいい条件を獲得していくしかない。コピーライターといっても、外注の仕事を獲得している零細企業の一社員。採用の条件だってけっして納得いくものではない。
 将来のことを考えると漠然とした不安しかなかった。
 そうこうするうちに、コンピュータ関係の会社の仕事に辿り着き、その業界ではちょっとした存在になっていった。
 ぼくの人生はさながら航海のように揺れ動いた。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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