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2013.05.13

海のある街    TSUNAMI 1

 小説家。
 そう名乗りたい。もちろん小説を書いて生活をしているわけではない。だから職業は? と問われると、小説家と答えることができない自分がいる。
 それでも今年の正月、これからは小説家として生きようと決めた。
 小説家になるのは簡単だ。自ら名乗ればいい。
 ただ、それを生業としているかどうかは別問題だ。
 いまぼくは、毎日、小説を書いている。もちろん発表するあてなどないし、出版されるかどうか、はっきりいってぼくはどうでもいいと思っている。
 もちろん小説を書いて生活できればこんなに素晴らしいことはない。けれど、毎日ぼくは楽しんで小説を書いている。
 だから、ぼくは小説家としていま生きている。このことを知る人は、いまのところぼく以外にいない。
 ぼくの職歴は一風変わっている。
 二回目の大学四年の時にテレビ局ではじめたアルバイトがぼくの職歴の最初だ。契約期間は一年間。たまたま知り合いの紹介で働きはじめた。
 大学での四年間で必要な単位をすべて取っていた。あとは卒論を書くだけだったのだ。だからこの二回目の大学四年のとき、講義に出席することはなかった。必要なときに研究室へ顔出すだけ。
 そんな状態だったから、ほぼフルで働いた。
 仕事はADだ。
 テレビ局のAD。もちろんアルバイトだから、やることはお茶くみやタクシーの手配、それに雑用一般ということになる。ただ、ぼくがついた番組がたまたまクイズ番組だったということもあって、ぼくはそれ以外に資料探しの仕事もやることになった。
 放送作家が作ってくる問題を可能な限りチェックする。
 二週分の番組を一度に収録するのでサイクルは自然に二週間単位ということになる。その間、三日ほどぼくは局にある図書資料室に籠もって、資料調べに没頭した。
 この手の仕事はどうやらぼくの性に合っていたようだ。
 一年間とても楽しく仕事ができた。
 そのあと一緒に仕事をしていたフリーの人に誘われて、すこしだけ放送作家の真似事をしていた時期があった。けれど卒論を書く時間が必要だったり、テレビ局の仕事というものの将来性について疑問を持っていたこともあって、それは長続きしなかった。
 そうして大学を卒業したが、結局大学に六年もいることになってしまった。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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