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2013.05.01

海のある街    風の街 8

 まだビーチサンダルで散歩ができるぎりぎりの季節だ。逗子に住む強者の中には一年中サンダルで散歩している人もいる。さすがにぼくの足はまだそこまで鍛えられていない。冬になると海へいくにも靴が必要になる。
 バス通りを駅に向かってすこし歩いてから左に折れて住宅街の中へ入っていく。住宅街の中の道は曲がりくねっていてはいるがそのまま歩き続けると田越橋へ出るはずだった。
 やがて右側に田越川が見えはじめ、前方に田越橋の交差点が見えてきた。
 信号が変わるとそのまま直進する。
 しばらく川沿いを歩いていく。田越橋の交差点から先はバス通りになっている。田越川が右に大きく蛇行するあたりで、バス通りは逆に左にカーブする。さらに進んだところで、ふたたび田越川にぶつかるとそのままバス通りは田越川沿いに海まで続く。
 河口にかかる渚橋のひとつ手前の富士見橋を渡り、渚マリーナの脇の道を歩いていくと海に辿り着く。
 家から二十分ちょっと。のんびり歩くと二十五分ちかくかかりそうだった。
 それでも家から海まで歩けるのはいいことだ。見たいときに海へいけるようにと逗子に引っ越したわけだから、歩いて海へいけないところに住まなければいけなのであれば、逗子に引っ越した意味がない。
 そのまま渚橋をくぐり波打ち際へと歩いていく。
 左には田越川の河口と海との境に置かれたブロックがある。ここから逗子の海岸がはじまっている。ぼくがいる場所はちょうど海岸の一番東端ということになる。
 海から吹く風を全身に浴びてから、ぼくは西浜を目指してゆっくりと歩きはじめた。
 海水浴場はちょうどハーフマイルになっているそうだ。メートルでいうと八百メートル。海岸の端から端までは一キロあるかないかといったところだろうか。
 砂を踏みながらときおり海を見てぼくは歩き続けた。
 海の向こうには伊豆半島があり、条件がよければ富士山が綺麗に見える。今日も頭に白い雪を被った富士山が見えた。その右側には江の島が浮かんでいる。
 中央のあたりでいったん足を止める。
 江の島は大崎で隠れてしまっている。そのまま西浜の出入り口までのんびりと歩くと、Uターンをしてまた東浜へと戻ることにした。
 陽がゆっくりと落ちていく。
 逗子の砂浜から見ると、海は左側に突きだした葉山の突堤と右側の大崎に囲まれるような感じで、とてもこぢんまりと見える。湾になっているため、ふだんは波もほとんどなく穏やかだ。
 ときにはまるで鏡のように静かなこともある。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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