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2013.04.05

海のある街    ペーパーフィルター 5

 この店で教えられたのは珈琲や紅茶の味だけではなかった。
 バックギャモンとドミノもこの店で遊び方を覚えた。
 バックギャモンは骰子と駒を使ったボードゲームだ。十五個の駒すべてをゴールさせることが目的。このタイプのゲームは世界中にいろいろな類型があるらしい。日本では、雙六という名で奈良時代から親しまれていたようだ。調べてみると、持統天皇のときに禁止令が出されているらしい。賭博としての要素があるからだろう。ただ、この雙六はたびたび禁止令が出され、昭和の初期には完全に姿を消したようだ。
 いまバックギャモンが楽しまれているのは、アメリカで発明されたダブリングキューブのルールのおかげだ。
 ふたつの骰子を振って、その目の数だけ駒を進めていくんだが、相手の駒が複数あるポイントには進めなかったり、相手の駒をヒットすることができたりとそのシンプルなルールの割にはきちんとした戦略性があり、やってみると填る。骰子の目によって確立されているセオリーを知れば知るほどゲームがおもしろくなっていく。
 このゲームをこの店の常連客たちと遊ぶ。
 常連にはいろいろな人たちがいて、中野で仕事をしている人や、中野に住んでいる人、それからマスターの友人たちと、それこそいろいろな年齢の、さまざまな仕事をしている人たちがいた。中には株の取引で生活している人もいたなぁ。
 そんな人たちとバックギャモンをやり、いままでまったく知らなかった人たちと知り合いになっていく。それもこの店の楽しみのひとつだったのかもしれない。
 バックギャモンが二人でしか遊べないのに対して、ドミノは四人で遊べた。
 どうやらいろいろな遊び方があるらしいんだが、この店でプレイしていたのはカンテットというゲームだ。向かい合った同士がチームとなって、ドミノを繋げていき、点を取り合う。
 一番端に置かれたドミノの目を足して、五の倍数にあると点となる。目の数が五なら一点、十なら二点だ。
 ゲームが終わると、手に残ったドミノの目の数も同じように計算する。この点は相手のものになってしまう。それぞれのチームの合計で勝ち負けが決まる。
 何回戦か続ける場合には、点の差が勝った方の得点になり、それを加算して勝ち負けを決める。
 バックギャモンは骰子の目という偶然性がゲームを大きく左右するが、ドミノはどちらかというと手の中のどの牌をどうやって配置していくのかという思考性が大きく影響する。これもやりはじめると止まらなくなってしまうほどのおもしろさがある。
 マスターに誘われて、三人の友だちと海に泊まりがけで遊びにいったとき、海には入らず、砂浜で一日ドミノをプレイして、変な日焼けをしたのはいまとなってはいい思い出のひとつでもある。そんな馬鹿なことができるのは、大学の頃しかなかったろうし、こうやって遊べるのは同じ年頃の友だちとマスターしかいなかっただろう。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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