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2013.04.25

海のある街    風の街 4

 海から吹いてくる潮風が気持ちよかった。
 しばらくの間、ただだまって突っ立ったまま海を眺めていたが、国道沿いにコンクリートの階段があって座れるようになっていたので、そこまで歩いて腰を下ろした。
 かなり歩いたことも確かにあるんだろうが、海を眺めていると頭の中にあったモヤモヤが綺麗になくなっていた。
「くつろぐ」とはこういうことをいうんだろうか。
 ぼくはいったんその場を離れると、途中で見つけた店にいき、缶ビールを買って、ふたたび海が眺められる階段に戻った。
 プルトップを開けてビールをひと口飲む。
 いつも飲んでいるビールとはまったく違った味がした。
 心がゆっくりとほぐれていくのがわかる。
 どれぐらいそこで海を眺めていただろう。いつもならすぐになくなってしまうビールだったけど、じっくりと時間をかけて飲み干した。
 ぼくは海がある生活ってどんなだろうと想像してみた。
 仕事で忙しいこともあるだろうけど、こうやってただじっと海を眺めて頭を空っぽにする時間があったらどんなに素晴らしいだろう。
 海の近くに住みたい。
 このとき、ぼくはそう考えていた。
 それから実際に引っ越しをするまでの三年の間に、海の近くに住みたいという願望は、逗子に住みたいという決意になっていた。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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