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2013.04.23

海のある街    風の街 2

 二〇〇七年の四月。カート・ボネガットが亡くなった日の次の日曜日のことだ。
 ぼくは突然、そう、ほんとうに突然海が見たくなって出かけた。仕事で息が詰まりそうになっていたこともある。前の日に元妻と軽い口げんかをしたということもあった。
 そのままひとりで家を出ると東横線に乗って横浜へ出て、そこから京急へ乗り換えた。当時は、三崎口行き快特の後ろ四両が金沢文庫で切り離され、新逗子行きの各駅になる編成で運行していた。そのまま新逗子の駅で降り、ぼくは逗子へ第一歩を記した。
 JR に乗って辻堂へいってもよかったのだ。江の島でもいい。いや、鎌倉でもよかったはずだ。鎌倉なら大学の頃に何度かいっているし、湘南の海へは社会人になってからも海水浴でいったことがあった。
 なのにぼくは横浜駅で迷うことなく京急に乗り、そして新逗子を目指した。
 どうしてだろう。こういう言葉を使うのはあまり好きではないんだが、運命ということなのかもしれない。
 新逗子駅を出たぼくは、まず JR の駅へと向かった。たぶんそこが逗子の中心なんだろうと思ったからだ。
 バス通りを歩くとすぐに JR の駅に出た。
 ロータリーにはバス停がいくつも並び、タクシーが列をなしていた。いくつかのオフィスビルが建ち、主だった都市銀行の支店があった。
 商店が並ぶ通りをぼくは南に向かって歩き出した。
 逗子銀座通りだ。もちろんそのときのぼくはその通りの名を把握していたわけではない。開いている店に混ざってシャッターの閉まったところがぽつりぽつとある。
 地方都市でよく見られる商店街の光景といってしまえばそれまでだろうか。
 ファーストフード店も並んでいて、ちょっと安心したことを覚えている。街の活気の度合いが馴染みのチェーン店の数でわかるからだ。
 そのまま歩き続けて T 字路にぶつかった。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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