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2013.04.12

海のある街    ペーパーフィルター 10

「量は、どうしますか? 」
「まず、百グラムだけもらっていいですか?」
 ぼくは遠慮がちにいった。
「百グラムですね。焙煎は?」
「ドリップで淹れたいんですけど、どのぐらいがいいんですか? 」
 ぼくは尋ねた。
「度合いは八段階に分かれてるんです。そうですね、好みがありますから、ドリップだからこれ、というわけじゃなんいですよね。喫茶店なんかのレギュラーコーヒーだと、ふつうはハイローストかしら」
 彼女はそういうとぼくの顔を見た。
「それだと、八段階の何番目ですか?」
 ぼくは訊き返した。
「四番目よ。煎り方が浅いと酸味がいい具合に出るの。店によっても違うけど、だいたいこのハイローストか、五番目のシティローストね」
 彼女は頷きながら答えた。
「それよりも深くなると焦げ臭くなるとか……」
「あら、そんなことはないわ。カフェ・オレなんかに使うフレンチローストだと七番目になるけど、深くて美味しいわよ」
 そういいながら彼女は眼鏡をずり上げた。
「八番目は?」
「イタリアンローストね。エスプレッソに使うの」
「そうか」
 ぼくはちょっと腕組みをして考えた。
「どんな味が好みかしら?」
「えっと、できるだけ苦いだけがいいんです。昔、よく通っていた喫茶店のマスターには泥水みたいな珈琲が好きなんだな、っていわれてたけど」
「泥水って、どんな味?」
 彼女はそういってちょっと吹き出した。

※この物語は、私小説と与太話の中間のようなものだと思ってもらいたい。
 実在の人物や、実在のお店などが出てきても、あくまでもフィクションです。

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