« 横浜 FC のチケット | トップページ | カーリングを見て思ったこと »

2010.02.25

数えずの井戸

数えずの井戸  今年の 12 冊目。京極 夏彦「数えずの井戸」読了。
 「嗤う伊右衛門」「覗き小平次」に続く第三弾。怪談話を京極夏彦風に仕立て直すというものだ。
 ベースとなっているのは、そのタイトルからもすぐに想像できるだろう、番町皿屋敷。京極ファンならご存じのように、もちろんここにはお化けの類は一切出てこない。
 登場するのは、さまざまな人間だ。身分はさまざまだが、江戸に生きている人たちだ。しかし、そのさまざまな人たちがいずれも少しだけ、ズレていたり、綻んでいたり、狂っていたりする。その微妙な差異があるからこそ、運命の糸に絡め取られるように巻き込まれ、そして哀しい話を紡ぐことになる。

 今回は章立てに趣向が凝らしてあって、それぞれの章ではひとりの人物にスポット当てて物語りが進んでいく。そのそれぞれの人物を描いているはずの個別の章に、話が進む連れ、他の登場人物が絡むことで物語の進行が加速され、そしてページを繰るのももどかしくなるほどの勢いで結末へと進んでいく。
 しかし、今回、はじめて読み進めることを怖いと思った。こんなことはいままでに経験したことがない。
 前回読んだ「厭な小説」は文字通り読んでいてとても厭な気分になったんだが、今回はそれを越えてはじめて先を知る怖さを味わった。それもすべて京極夏彦の筆のなせる業なんだろう。

 さてと、もうちょっと彼の世界にどっぷりと浸かりたいんだが、次の京極堂はいつになるんだろう。いまから待ちきれない。

|

« 横浜 FC のチケット | トップページ | カーリングを見て思ったこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/476084/33539530

この記事へのトラックバック一覧です: 数えずの井戸:

« 横浜 FC のチケット | トップページ | カーリングを見て思ったこと »