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2010.01.30

レスラー

レスラー スペシャル・エディション [DVD]  第 65 回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞をはじめとして世界中で 54 もの賞を獲得しただけのことはある、とてもいい映画だった。
 ただし、制作会社の意向を監督が呑まず、そのために低予算での制作になってしまった。が、逆にそのおかげでとてもリアルな映像作りができたような気がする。主演のミッキー・ロークを映す映像が、いわゆる映画会社が撮影する映像ではなくて、まるでプライベートムービーのような味を醸し出してもいる。そのために、すべてがとても自然で臨場感溢れるシーンになっている。
 エキストラがやたらに少ないとか、大規模なロケが行われていないということは、この物語を描く場合は逆に効果的だといってもいいだろう。

 元人気レスラーのランディが長年のステロイド剤の摂取の影響で心臓発作を起こしてしまい手術をすることになり、医者からはプロレスは二度とできないと宣告されるにもかかわらず、居場所を失い、最後にまたリングに戻るという話だ。不器用な生き方しかできないランディの、しかし人生最後かもしれないリングに登る姿は悲哀のこもったものといっていいだろう。そして最後に決め技を繰り出すところで画面はブラックアウトになる。まるで「あしたのジョー」のラストといっしょ。彼の最後は自分で作ってくれということなのか。
 そのあと流れるブルース・スプリングスティーンの主題歌がいま観た物語に心打たれているぼくの感情をさらに増幅させてくれる。

 しかしこれ、制作会社の意向通りにニコラス・ケイジが主演していたら、駄作になっていたような気がするなぁ。最後まで、ミッキー・ロークでやると意志を貫き通した監督に拍手を送りたい。もちろん、その声に素晴らしい演技で応えたミッキー・ロークにも、ね。

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