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2010.01.16

フリー

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略  今年の 3 冊目。クリス・アンダーソン「フリー」読了。
 心地よいショックを与えてくれた一冊。目から鱗というよりも、いままで靄っていた視界がすっきりと晴れ渡った感じだ。
 ものごとのあり方や価値観ががらりと変わるんだとうことをここまでわかりやすく説明されたのは久しぶり。その昔、ネグロポンテの「ビーイング・デジタル」を読んだときの読後感と似ているかもしれない。あれは「アトム」から「ビット」へという時代の変化を教えてくれたものだった。この「フリー」は「ビット」の方は貨幣だけでは測れない別のものになっていくんだと示唆している。
 フリーの歴史を、それこそジレットの髭剃りの頃などを引き合いに出して説明しているが、いま起ころうとしている、あるいは進行している「フリー」はそういうマーケティング的なものとは別のものでもあると説明している。ポイントは「ビット」だ。

 コンテンツが「アトム」から「ビット」へと移行しているのがいまだ。そのすべてが「ビット」になることはないだろう。ただ、そのほとんどを「ビット」で代替することはできるし、それは起こっている。新聞も雑誌も、その記事を Web で読むことができる。その例として百科事典でこの本では説明している。
 分厚い百科事典が CD ロムになり、そして Web で検索できるようになっている。「アトム」から「ビット」へと質的な変化を遂げているわけだ。この変化がどうして価格の低下を、それも目も当てられないような暴落といってもいいような低下を招いたのか。簡単にいうと「ビット」は価限界費用を限りなくゼロへと近づけることができるからだ。ムーアの法則である。
 ぼくが「ビーイング・デジタル」を読んでいた頃「HDD のサイズが将来「TB」になるなんてことになったどうする?」なんて友だちと冗談半分に話をしていたんだが、まさにいまその「TB」のサイズになってしまっている。ぼくが PC-98 シリーズを使っていた頃、HDD の価格は 1MB が 1 万円だった。それが時代を経て、1GB が 1 万円になり、そしていま 1TB が 1 万円で買える時代になってしまったのだ。ムーアの法則通り、HDD の空き容量だけでなく CPU の処理能力もメモリーの容量も性能をアップさせている。しかも、桁違いで実現されている。そのために「ビット」はすべてあらゆる意味で「フリー」へと向かうことになる。その限界費用が限りなくゼロに近づくために。

 いま、日本では CD は貨幣で購入すべき商品として流通させようとしている。しかし、アメリカはもちろん、ブラジルなどでも CD はすでにただで頒布してもいいものになりつつある。価値を貨幣で測るのではなく、ほかの基準、たとえば評価だとか注目度、そういったものに転換しているこういう例を挙げて説明している。それをきちんと読めば、いま起こっていることだけではなく、これから起こるかもしれないことも容易に想像できるだろう。
 ということで、この本はコンテンツビジネスに関わるすべての人たちが読むべき一冊といえる。もちろんぼくにとって大変勉強になった一冊だ。

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