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2008.11.14

アメリカン・ギャングスター

アメリカン・ギャングスター  デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウということでかなり期待して観たんだが、期待に違わぬいい映画でした。
 実はもっと派手なドンパチものかと思ったら、事実をベースにした映画だったんだねぇ。まったく知らなかった。ついでに観始めるまで監督がリドリー・スコットだとは知りませんでした。ふたりの役者はいうに及ばず他のキャストもしっかりしていて、そこへリドリー・スコットの映像なんだからこれが締まったいい映画にならないはずはない。ということでこれから何度か観直したい映画の一本になったかも。

 ストーリーはデンゼル・ワシントン演じるフランク・ルーカスが麻薬王になり、それをラッセル・クロウ演じるリッチー・ロバーツが捕まえて、しかもなおかつ警察内部の堕落していた警官たちを芋づる式に捕まえたという事実に基づいていて、いや〜その警察内部の腐敗ぶりにはちょっと驚いてしまった。もっと、逮捕したのは 70 年代なんだけどね。
 それにしても、ルーカスが麻薬王になる過程が面白い。ハーレムを仕切っていたボスに仕えてきた運転手のフランクは、ボス亡き後、一匹狼として生きることにするんだけど、その戦略が素晴らしい。それまで麻薬の供給源のひとつだった警察ルート、証拠品を警察官が倉庫から持ち出して、しかもヘロインの純度を下げて売りさばいていたんだけど、それに対抗するためにタイの奥地、黄金の三角地帯と呼ばれたヘロインの一大産地に直接赴いてそこから純度 100% のブツを仕入れるというもの。しかも、国内に持ちこむルートが軍の輸送機を使う。これほど安全なルートは他にはないよね。

 競合商品よりもいい品質のもので商売するという発想は、ギャングがやったことを褒めたいわけではなくてビジネスとしての視点で見ると、まことに理にかなっている。しかも、その純度を落とすんだけど、というのもリドリー・スコットいわく、純度 100% のヘロインをやると心臓が止まっちゃうらしいので薄める必要があるらしいんだけど、市場に出回っているものよりもはるかに程度がいいものにする。さらに、そのあとがよろしい。「BLUE MAGIC」というプリントした袋に詰めて売るわけだ。要するにブランド化をやっているわけで、この差別化というのはビジネスにおいてまことに有効な手段だったりする。この場合、品質がよくて安価だというちょっとオーバースペックなんじゃないかと思えるほど決定的な差があるから、そのブランド化もとても楽だしね。
 しかも、身辺を兄弟親戚といった近親者で固める。まぁ、このあたりはマフィアと同じ発想なんだろう。この手の組織で一番怖いのがなんなのかというと裏切りだもんなぁ。
 もちろん他の警察官とは違って実に職務に真っ当なお陰で閑職に追いやられちゃうリッチー・ロバーツがその愚直なまでの真面目さで追い詰めていくというのもなかなか面白かった。

 しかし事実をベースにしているということを考え合わせるとアメリカという国の持つ力ってなんだろうと考えさせられてしまう。70 年代のニューヨークなんて驚くほど腐敗警官が闊歩していて、当たり前のように人種差別があって、ベトナム戦争で混沌としていたのに、来年にはオバマが大統領に就任しちゃうんだもんなぁ。
 実に、不思議な国だ。

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