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2008.04.14

街場の現代思想

街場の現代思想 (文春文庫 (う19-3))  今年の 20 冊目。内田 樹「街場の現代思想」読了。
 2004 年に出された単行本を文庫化したもの。全体は三部に分かれていて、その最初は文化資本というものについてだ。この話のポイントは「文化資本を獲得しようと足掻けば足掻くほど文化資本を身につけることはできない」という皮肉な結論である。初っ端のこの話から、なるほどどぼくは頷きっぱなし。まぁ、いつもぼくはこの人の言説をただ頷いて読んでしまうんだけどね。
 第二部は「負け犬の遠吠え」に関する言説である。で、第三部が本人もいっているが「いかなる問題についても ( 自分がよく知らない主題についてさえ ) ただちにお答えできるという特技を持っている」ということで、いろいろなテーマに関してバッサバッサと快刀乱麻のごとく質問に対する回答を展開している。その切れ味はまことに見事というほかない。ぼくにとってはとても大切な指針を示してくれている。それだけでなく、とても重要なことを教えてくれていると思っている。

 それぞれの質問ひとつひとつ対する回答もなかなか含意に満ちたものになっていて、とてもおもしろかったんだが、最後の質問に対する回答は実に興味深いものであった。ラカンの「人間は前未来形で自分の過去を回想する」という考え方をベースにして「死ぬことの意味」を考える大切さを述べるということで締めくくられている。ぼくが常々思っている「独りで生きる覚悟」と同等の視座でもある、と勝手にぼくは解釈しちゃっている。生きるということがどういうことなのかということを考えるためには、対局として「死ぬ意味」をきちんと考えなければいけないということである。そのためにラカン的な視線で自らを振り返ることになるという話になっている。どういうことかというと、人は未来のある時点から現在を振り返る形で自らの人生を観ることになる、といっているんだけどね。この考え方はとても大切なことじゃないだろうか、と「独りで生きる覚悟」をしているぼくには思えてならない。
 まぁ、いつものことではあるんだけど、なかなか見事な斬りっぶりでついつい勢い込んで読んでしまったけど、これもしかしたらとても大切なことをぼくに教えてくれる一冊になるかもしれない。もちろん何度でも読み直す必要はある、というかもっともっと深く読まなきゃいけないんじゃないかと思っているということなんだけどね。
 やっぱり彼の本はしばらく無条件で読むことにしよう。

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» 本の柔軟 04212008 [つき指の読書日記]
 内田樹(うちだ・たつる)のブログ、毎日1万位ヒットするとのことである。並の人気タレント以上ではないか。5年以上も前には覗いたこともあるが、書籍になるのでそれを読むことにしている。  大学教授にしては変に学識だけに偏らず、ごく普通の視線から繰り出すフレーズの数々、他では味わえない知性に魅せられる方が多いということだろう。だから、本になっても教養書の割にはよく売れ、次々に新刊がでるということにつながる。  ぼくの経験からも、学者の中には失礼だが、人格破綻、変人、専門的偏執者が少なくない。...... [続きを読む]

受信: 2008.04.20 19:05

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